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北野 清治【木工・彫刻家】 北野 清治(きたの せいじ)


今回は東近江市蛭谷町(旧永源寺)にお住まいの木地師(きじし)、北野清治さんをご紹介します。

全国でも200人程度となった木地師。発祥の地と言われる永源寺地区蛭谷・君ケ畑町も木地師は現在2人で、その一人が北野さんです。15年前にこの地に移り住み、木工を始められた北野さんですが、後継者がなく残ったロクロ機械をもらった事がきっかけで、遊び気分で木地を挽かれたそうです。すると…「何年振りに木地師が復活なんて報道をされてしまい、後に引けなくなったんです。それから8年経ちました」と北野さん。今では仕事の9割以上が木地の仕事で、お椀とお盆を作り続けておられます。しかし、北野さんの名刺には『木工 きたの』としか書いていません。

「ようやく木工のプロになったばかりで、まだ木地師というにはおこがましいんです。仕事を始めたら、そこそこのモノが挽ける様になり、色々なモノを一杯作るんです。しかし、なかなかプロとアマの境目を乗り越えられない。一つのモノを挽き続けると、ある日、目が変わるのよ。

今まで作ってきた作品が最低に見え、これでは恥ずかしいと思うんですよ。だから、納得できる立派な作品ができて、たくさんのお客さんに買ってもらえた時、木地師と名刺に書きたいんです。今は買って帰るお客さんの後ろ姿を見て、頑張ろうと思っています」と話されます。

全国一の木地轆轤(ろくろ)挽き物産地は、石川県の山中温泉近郊で、木地師としては初めて人間国宝に認定された川北良造さんなど多数の木地師が創作活動をされ、輪島など他産地への木地の提供も行われています。北野さんは「山中ではたくさんの木地師が一日に100個ほど椀を作るんですが、木地師は足らないんです。時々私にも問い合わせがありますが、価格についていけません。だから、少人数で木地をひく私達は、木目かデザインにこだわるしか勝ち目はないんです」と話されます。北野さんは栃ノ木の虎目にこだわって、縦目使いや横目使いのお椀を挽かれています。栃(とち)の他は、ケヤキ、桜しか挽かれる事はないそうです。木目を見て、厚みを決め、出来るだけ薄く削る。今のライフスタイルに合う、特色のある椀を挽く。その作品こそが『筒井ろくろ』の北野さんの作品なんです。ある日、富山県の彫刻の街で名高い井波で、滋賀の蛭谷で筒井神社の神主をしていると言われたら…、「急に顔色を変えて奥へ入っていかれ、組合の偉いさんやたくさんの人が現れて、色々な所を丁寧に案内してもらいました」と北野さん。蛭谷で木地を挽くことの大きな意義を感じられ、『筒井ろくズがあります。「いつかおじいちゃんになる○○君も、ずっと愛してます」最高です!言葉を超えたものが込み上げてきます。是非、皆さんにもこのお話を読んで頂きたいとご紹介させて頂きます。では、始まり、始まり・・・。ろ』のブランディングを始められたのです。

普段は静寂に包まれた奥永源寺ですが、3年ほど前から地域の仲間達や、この仕事を生業(なりわい)とする強い想いを持った若手作家と共に、春と秋にイベントを開催され、予想以上のにぎわいを作られています。5月のゴールデンウィーク前半に3日間、地域の仲間達と創・食・住・楽の街おこしイベント『春の奥永源寺 山歩道( さんぽみち)』を開催されています。また10月末には4日間『匠の祭り』と題して、木地師、木工家、ガラス作家、陶芸家、日野椀作家、彫刻師の作家仲間で作品展示会と実演会を開催されて、創作活動の良さ、楽しさ、素晴らしさをPRされています。JR能登川駅から1時間ほどのドライブで行ける山の美術館、是非お訪ね下さい。


『筒井ろくろ』北野清治 東近江市蛭谷町193
TEL:0748-29-0308 FAX:090-6558-7548 


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